AIと音楽で人とつながる、認知症予防プログラム 音会/OTOKAI

音会/OTOKAIとは

「音会/OTOKAI(おとかい)」は、音楽を活用した新しい認知症予防トレーニングです。 受講者はそれぞれアプリを使って、課題に合うAIが生成した音楽を聴き比べて選び、 自分だけの作品を作ります。レッスンは週に1回。 だれでも簡単に「作曲体験」ができ、そのプロセスを通じて自然と脳が刺激され、 認知機能の維持につながっていきます。
また、受講者同士の交流も生まれるため、認知症予防だけでなく、 新たな趣味の発見や人とのつながりも生まれるプログラムです。

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音会/OTOKAIのレッスン内容

少人数レッスン。
専用のアプリで「お題」のイメージに合った音楽を生成AIを使って作曲します。

音会/OTOKAIのプログラムは65歳以上を対象としています。レッスンは週1回60分、6ヶ月間(全24回)の構成で、無理なく続けられる時間・期間設定です。対面レッスンに加え、オンラインでの受講も可能なため、遠方にお住まいの方でも安心してご受講いただけます。

1回のレッスンの流れ

1

お題の提示

専用アプリにお題が提示される。お題は、写真、絵、動画などの画像だけでなく、俳句、詩、名言などの文章のことも。

2

生成AIが作曲した音楽を選ぶ

受講者は、お題から連想する言葉を専用アプリに入力し、AIが作曲した音楽からイメージに最も合ったものを選ぶ。

3

作品発表

グループで、自分の作品を発表。なぜその音楽を選んだかについて話し合い、講師からの講評を受ける。

4

認知能力の確認

レッスンの受講前と受講後(6ヶ月後)に、認知機能の検査(※)を受ける。認知能力を維持・向上させているか確認する。

※継続的なレッスン受講が前提となるため、単発イベントでの実施には含まれません。

音会/OTOKAI

音会/OTOKAIプログラムのメカニズム

音会/OTOKAIでの曲作り体験が「記憶の再固定」を促し、小さな達成感を積み重ねます。

絵や写真などの「お題」という視覚刺激からもたらされた曲のイメージを脳内で言語化し、AIが作った曲と自分のイメージを擦り合わせていくというプロセスによって、脳が自然と活性化していきます。週1回のレッスンを続けることで、集中力や柔軟な思考力、人とのつながりを大切に保つことができ、認知症予防につながると期待されます。

音会/OTOKAI 出典:Satoh. Brain & Behavior, 2024 を訳・改変

作曲体験が脳に影響を与えるメカニズム

曲作りというポジティブな体験を通じて、大切な記憶を深く刻み直し、小さな達成感を積み重ねます。

1

写真などのお題を見る

音会/OTOKAI

視覚刺激からの言語化

音会/OTOKAI
2

AI生成された曲と
イメージのすり合わせ

音会/OTOKAI

創作と対話

音会/OTOKAI
3

体験全体を通じて脳が活性化

音会/OTOKAI

記憶の再固定

音会/OTOKAIは科学的根拠に基づいて開発されたプログラムです。

研究・開発体制(研究結果を含む)
  • 医学博士 佐藤正之(前:東京都立産業技術大学院大学 認知症・神経心理学講座)、一般財団法人ヤマハ音楽振興会との共同研究として第1回実証試験を実施
  • 週1回60分、6ヶ月間の継続的なプログラム実施により、高齢者の前頭葉機能が改善することを実証(第1回実証試験にて)
  • 東京都中小企業振興公社のTOKYO戦略的イノベーション促進事業の採択
  • [第1回試験 論文]Brain and Behaviorに掲載
    Transforming text to music using artificial intelligence improves the frontal lobe / AIを用いたテキストから音楽への変換が通常の高齢者の前頭葉機能を向上させる
  • Amadeus Codeが「音会/OTOKAI」アプリを開発(2024年1月より開始)
  • 第2回実証試験を開始(2025年7月より開始)

音会/OTOKAIプログラム
開発ストーリー

「音会/OTOKAI」は、AIによる音楽生成を通じて認知機能を維持し、脳の健康寿命を延ばすことを目指す革新的なプログラムです。開発者の井上純は音楽プロデューサーとして数多くのヒット曲を手がけた実績を持ち、現在はテクノロジーと音楽の融合による新しい可能性を追求しています。今回は、井上に開発の背景や成果、そして音楽の持つ可能性について話を聞きました。

音会/OTOKAIプログラム開発者

井上 純

音会/OTOKAIプロジェクト発足のきっかけ

私の祖母が認知症になり、大切な家族との思い出や認識が失われていった体験が「音会/OTOKAI」の原点となっています。
日本では65歳以上が人口の約3割を占め、約8人に1人が認知症を発症するという現状があります。ですが、これまで認知症には有効な治療薬がなく、科学的根拠のある予防法は有酸素運動(歩行)のみという状況でした。

研究によると、認知症の最大の危険因子は加齢で、次に「聴覚の衰え」が挙げられています。この研究結果を知り、「音楽を通じて耳をトレーニングすること」で認知機能の維持につながるのではないか?という仮説が私のなかに生まれました。

研究パートナー、佐藤正之医師との出会い

音会/OTOKAIのプログラムを開発するにあたり、まずは音楽と医療の両方に精通した専門家を探しました。そこで出会ったのが医学博士 佐藤正之先生(前:東京都立産業技術大学院大学 認知症・神経心理学講座)です。佐藤先生は、音楽大学卒業後に医師になったという異色の経歴の持ち主。認知症学会で音楽療法の研究をされている権威であり、科学的エビデンスに基づいたアプローチを重視されている方です。佐藤先生の医学的・音楽的知見と弊社のAI音楽生成の知見とを組み合わせ、初めての方でも作曲体験ができるプログラムの開発が始まりました。

実証実験で生まれたのは
「科学的根拠」と「社会的つながり」

開発の過程で、私たちは約1年の期間をかけて実証実験を行いました。高齢者の前頭葉機能の改善が数値的に証明され、論文としても認められる結果を残すことができました。さらに、実証実験ではそれ以外にも得るものがありました。

最初は苦戦しても、だんだんと音楽制作に没頭し、作品作りに週のほとんどの時間を費やすような方があらわれたのです。また、レッスン期間の終了後も参加者同士が自主的に交流を続けるなど、「社会的つながり」が生まれたのは非常に大きなことでした。音会が「社会的孤立の防止」という認知症予防のもう一つの重要な要素にも貢献できることが明らかになったからです。音楽は人をつなげる力があるということを改めて感じました。

音会/OTOKAIの未来ビジョンと社会貢献

この取り組みは、音楽大学卒業者に新たな職業の選択肢を提供し、専門知識を活かした持続可能なキャリアパスを創出することも目指しています。

さらに、将来的には医療機関や介護施設との連携も視野に入れ、予防医療の一環として社会保障制度への組み込みも検討していきたいと考えています。認知症の問題は多くの家族に影響を与えるものですから、このプログラムを通じて少しでも社会に貢献できれば嬉しいです。

音会/OTOKAIは、音楽を通じて認知機能の維持をサポートし、認知症を予防することを目的としたサービスです。しかし、これはほんの始まりに過ぎません。音楽に興味がない方々にも「認知症予防」という実益を通じて音楽の良さを伝え、生涯にわたって続けられる趣味として音会/OTOKAIを広めていきたいと考えています。

佐藤正之医師からのメッセージ

認知機能の低下を防ぐには、知的活動の継続が大切です。各自がもっとも興味のある活動を選択できれば、それだけ継続率も上がります。しかし、今まで句会や絵画、陶芸教室はありましたが、作曲教室はありませんでした。なぜなら、作曲には長きにわたる専門的な訓練が必要だからです。

そのハードルを取り除いたのが、井上氏が開発した人工知能を用いた自動作曲ソフトです。そのソフトを用いた作曲体験のグループ活動を、俳句の句会に倣い、私たちは「音会/OTOKAI(おとかい)」と名付けました。「音会/OTOKAI」は、前頭葉機能や記憶力を改善する非薬物療法として有効性を示し、その論文が、医学国際誌に掲載されています(Satoh, Brain and Behavior, 2024)。

「音会/OTOKAI」はオンラインで行うことができるため、コロナやインフルエンザのような感染症が心配な時や、交通の便が悪い場所にお住まいの方でも参加することができます。このような取り組みは、都会から離れた地域や島に住んでいるお年寄りの方々にも用いることができ、高齢化が進む日本社会で認知症の予防に新しい光を当ててくれると期待されます。

佐藤正之医師

医学博士 佐藤正之

前:東京都立産業技術大学院大学 認知症・神経心理学講座

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